大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 昭和63年(ネ)2580号 判決

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

一、申立

1. 控訴人

(一)  原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。

(二)  被控訴人の新株発行無効の訴を棄却する。

(三)  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

2. 被控訴人

主文同旨

二、主張及び証拠

以下に付加、訂正するほか、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。

1. 原判決四枚目表七行目の「代表取締役」の前に「当時の」を加え、九、一〇行目の「は不適法であり」を「の招集手続には瑕疵があり」に訂正する。

2. 同六枚目裏八行目と九行目の間に「同3二(2)の事実は新株発行無効の訴の提訴期間内に原告が適法に主張していない無効原因である。」を加える。

3. 同七枚目表六行目末尾に「金利負担が経営を圧迫するうえ、原告は被告に対する直接間接の資金援助の打切りを宣言していたため、金融機関からの借入も事実上」を加える。

4. 同八枚目表二行目の「該当しない」の次に「し、原告はその無効を主張できない」を、四行目の「商法」の次に「二八〇条ノ一〇所定の新株発行差止の原因となるとしても、同法」をそれぞれ加える。

5. 同九枚目裏九行目の「原告が」を「被告を経営していく意思を失っている原告が、何ら不利益を受けていないのに」に訂正する。

6. 同一〇枚目裏八行目末尾に「また、毎期赤字続きの被告を存続させるより解散した方がよいと考えたとしても経済人として合理的な考えであり、本件請求は権利の濫用にはあたらない。」を加える。

理由

一、当裁判所も被控訴人の本件新株発行無効の訴は理由があるものと判断する。その理由は以下に付加、訂正するほか、原判決理由説示と同一であるから、これを引用する。

1. 原判決一三枚目表三行目の「そこで」の前に「被告は、請求原因3(二)(2)の事実は、原告が提訴期間内に適法に主張していない無効原因である旨主張するが、原審昭和六二年(ワ)第一二四四号事件の第六回口頭弁論期日において陳述された同事件訴状の請求原因二(二)2に右事実の記載があることは一件記録上明らかであるから、右主張は採用できない。」を、六行目の冒頭に「右争いのない事実のほか、」をそれぞれ加え、七行目の「及び」を「(後記措信しない部分を除く。)及びこれにより真正に成立したものと認められる乙第三号証、」に訂正し、同行目の「結果」の次に「(後記措信しない部分を除く。)」を、八行目の「趣旨」の次に「及びこれにより真正に成立したものと認められる乙第二五号証(登記官認証部分の成立は争いがない。)」をそれぞれ加え、同行目の「認められる」を「認められ、証人捷之助の証言及び原告本人尋問の結果中にこの認定に反する部分は前記各証拠に照らしてたやすく措信できず、他にこの認定を左右するに足りる証拠はない」に訂正する。

2. 同一三枚目裏四行目の「あるが」の次、同一四枚目裏一三行目の「知らせなかった」の次及び同一五枚目表四行目の「考えており」の次にそれぞれ「(この点は争いがない。)」を加える。

3. 同一五枚目裏六行目と七行目の間に「そして右新株は、直接公募の方法によるとされていたけれども全て捷之助が引受けて払込を行い、現に保有している(この点は争いがない。)。」を加え、九行目から同一六枚目表二行目までの括弧書部分を「し、捷之助が全株を引き受けなければならない必要性があったとも認められない」に訂正する。

4. 同一六枚目表一〇行目の「原告」の前に「ことさら」を、裏八行目末尾に「被告は、本件新株発行により原告は何ら不利益を受けていないからその無効を主張できない旨主張するが、新株発行無効の訴は提訴者が新株発行により不利益を受けることを要件とするものではないから、右主張は採用できない。また、」をそれぞれ加える。

二、以上のとおりであるから、被控訴人の本件新株発行無効の訴を認容した原判決は相当であって本件控訴は理由がないので、民訴法三八四条によりこれを棄却し、控訴費用の負担につき同法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例